1週間で注射8本、副作用も忘れて飛行機の墓場へ

バンコクの9月は夕方になるとゲリラ豪雨のような雨が降ることが多いようだ。ただ、その時間を除けば、あまり降らない。

 

バンコク滞在の目的は2回に渡る予防接種ではあるが、滞在中の後半は観光らしいこともやった。

第1回目の予防接種後、世界遺産の古都アユタヤへ行くためフアランポーン駅(バンコク駅)へ。ゲストハウスから歩いて15分くらいだった。午前9時前には駅に着いた。

アユタヤまで各駅停車で2時間近くかかるが、片道たったの15バーツ≒52円で行けるとの情報を得て鉄道で行くことにしたわけだが、着いてみると、駅舎の前には鉄道会社?の名札を首にぶら下げた女性がいて、チケットの販売をそこでもやってくれるとのこと。

ちょうどいいと思って、これで行くと心に決めていた各駅停車のチケットを要求すると、

「各駅停車は席が埋まると、立ったままの乗車になるのでお勧めできません。」とのこと。そして、グレードの高い席を勧めてくれた。

金は掛けたくない。しかし立ったままは辛いな、と思って他のグレードの時刻表と料金を見せてもらうと、昨晩、国鉄のHPから得た情報と全てのグレードの料金が違う。おばさんの提示してきたヤツは各駅停車でさえ40~60バーツになっていた。あらら、詐欺かな?

しかし、立つのか立たないのかが気がかりで仕方なく、各駅停車でもいいから2時間くらい出発が遅いヤツならどうなの?と聞いてみると、

「お勧めしません。なぜなら、アユタヤは午後が雨だからです。」

おばさんは、どうだ、といわんばかりに自信満々の笑顔で言う。

なんで無数もある駅の中のアユタヤの天気なんか知ってるのか、しかも何でそのザクーっとした理由で職員が各停以外のチケットをゴリゴリ勧めてくるのか。

「そうですか。ちょっと考えます。」

「どうぞどうぞ。(自信満々)」

 

 

駅舎に入ると天井が高く広々としている。まるでハリーポッターに出てくる駅のよう。チケット売り場も真正面に設けられていて分かりやすい。

待合所やプラットホームには人が混雑している様子もなく、立ったままでの乗車の心配はこの時点で消えた。さっそく券売所へ行くと、なんだ15バーツで買えるじゃないか。

 

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9時25分発だったが、20分ほど遅れて発車。

車内に立っている乗客なんて少なくとも僕らのいる車両には1人もいない。

ただ、問題が一つ。僕らのところだけ扇風機の首部分が回らず、窓も壊れていて開かない。

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世界の車窓からってどうしてあんなに快適に見えるのだろう。それは絶対に3等車じゃないからだ、などと2人で話していると、日本語が分かったのか、不憫に思ったらしく、通路を挟んで向かいに座っていたタイ人の男の子が、扇風機の首をどうにか動かそうとあれこれやってくれた。それでもダメだったので今度は僕らの席の窓を開けようと試みてくれる。結局それも駄目だったけど、気持ちがとても嬉しかった。詐欺師もいればこういう人もたくさんいるタイランド。あっぱれ。

 

アユタヤの手前の駅で彼と連れの女の子2人が立ち上がり、自分の居たところに早く座れ、とジェスチャーで促してくる。

コップンカーと言って座らせてもらう。

列車はまた動き出した。去り行く風景の中に女の子2人を見つけた。じっと車両を眺めている。そして、2人はまるで僕らを探していたかのように目が合うなりニコッと笑って手を振ってくれた。男の子の姿はもうどこにもなかった。

アユタヤまであと少しだが快適な旅が始まる。

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快適な時間というのは一瞬で終わる。

アユタヤ駅に着いたのは12時ちょっと前。

 

参考にしたブログには「レンタル自転車はどこで借りても同じ料金」と書かれていたので迷わず駅を降りてすぐのところで借りる。

ショップの店員がマップをくれて、現在地と大体の地図の縮尺を教えてくれた。それから、川で囲まれた遺跡群の中へは自転車ごと船に乗せて渡るか、自転車で南に下って橋を渡るという2つの選択肢があることを教わった。

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googlemapでも橋までの距離感を確認したところ、大した距離ではないことが分かったので迷うことなく後者を選択。せっかくチャリを借りたのに船とかね。

 

橋の前に行ってみると、まるで高速道路のように立派な橋が架かっている。車もビュンビュン飛ばしている上に、そこまであがるのに100mくらい坂道。こちとらギアチェンジなしのママチャリで、けっこうフラつくだけならまだしも妻も一緒ときている。

 

 

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景色が良い。舟渡は片道1人5バーツ、自転車5バーツで合計10バーツ。乗船時間はたった2分。15バーツでアユタヤまで2時間近くかけてきたことを考えると、今更のように鉄道の安さが可笑しくなってくる。

 

対岸に到着すると、レンタル自転車屋がたくさんあるじゃありませんか。下調べをしないとこうなるのである。滑稽極まりなく2人で笑った。でも世界一周中にリサーチにかける時間はそんなにない。毎日が新しい出来事との戦いなのだ。そう、旅が終わったと思ったら明日も旅。だから失敗に飛び込むつもりでケセラセラの精神も大事にしていかないと、息が詰まってくる。

 

ワット・プラ・マハータートに到着。と思いきや入口を間違えて寺院内に入れず。だが、遠くからでも滅茶苦茶キレイってことで満足。そして勝手に穴場に認定。だって本当に誰もいない。

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次のお寺。名前は忘れたが、見事な3つの塔。

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近くにいたツアーガイドの話を盗み聞きしたところ、400年ほど前に造られた3人の王の墓である、と言っていた。名前などは分かっていないらしい。

日本の400年くらい前に建てられたような城などは何度も改修工事をしているはずだけど、アユタヤではどれくらいのペースなのだろう?ボロボロに崩れかかっている煉瓦などを見ていると、それはそれで美しく、むしろこのままであってほしいと思った。

 

タイの犬たちは本当にどこにでもいる。バンコクでは車に平然とした顔をして小便をかける犬を何匹も見たが、アユタヤでは世界遺産に小便をかけているのだろう。タイの人たちはそういうのあまり気にしないようにみえる。

犬好きの我々としては微笑ましいことだけど、残念でならないのはこの国では犬に触ることができないことだ。というのもタイでは毎年狂犬病で亡くなる人がいるから。

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適当なレストランで昼食を取り、あっという間に15時。

最後に、さっき穴場認定したワット・マハータートに戻って正面口から入ることに。

それまでに行ったいくつかの寺は無料だったが、ここはアユタヤ最大の見どころとあってか入場料を取った。料金は屋台の飯代くらい。

すぐに、有名なポイントに到着。

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これは仏の顔がアップで撮られたものしか見たことがなかったが、実物は思っていたよりも太い樹の中に埋もれていることを知る。ただただ星のカービィという初代ゲームボーイのソフトにこんなルックスのボスがいたことを思い出すだけだった。南無阿弥陀仏。

遺跡は観光客が写りこむため、あまり写真を撮る気にはなれなかったが、旅行に来たことを思い出す。

「自分たちのツーショットが全然ないね」

ってことでセルフタイマーで大きな壁のようなところで撮影。この壁が何なのかはさっぱり分かっていない。ピース。

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どうしても、行きたかった場所はWat Lokayasutharaという寺。だが、時間の関係で叶わなかった。

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下調べ不足と言われればそれまでだが、自転車屋がくれたマップには寺の名前が地図上に載っているくらいで、まったくクローズアップされていない。おそらくこの大仏スポットはスーパーファミコンでヒットした格闘ゲームの舞台として使われた場所としてゲーマーには有名なのだけど、残念ながら知らない人にはそれほど価値のあるスポットではない、ということなのだろう。

まさかそんなわけがないと思っていたのでお勧めスポットを適当にぶらぶらしてきたのだが、あれ?と感じる時間帯になり、昼食をとったレストランの店主に尋ねてみると、想定外の場所にあることが発覚したのだった。

帰りの列車の時間などを考えるとママチャリで15時から向かう元気は沸いてこず、急いで行って妻の「タイガーアッパーカット」なんかのポーズを連写で撮ったところで逆光になるのは分かっていた。

次にアユタヤ観光をする機会があったら、間違いなく1泊するか、半日ならバイクを借りるだろう。

 

 

駅で少しの待ち時間があったので、おやつを買いにセブンイレブンへ。すると、泊まっているバンコクのゲストハウス付近のセブンイレブンには置かれていない機械が置かれている。よく見ると体重計のようだ。

たった1バーツで計らせてくれるということで、抜かれているコンセントを差し込むと、うるさく音楽が鳴り始める。これが昭和の駄菓子屋の名ゲーム機「ジャンケンポン」くらいのヴォリュームで中々恥ずかしい。

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画像を加工するのが面倒なのでもう体重は公開することにしよう。60.9kg。

目を瞑り、合掌して物乞いしていたはずの少年が立ち上がって背伸びしながら体重計を覗き込んできて、60.9kgが表示されると、すぐにまた胡坐をかいて物乞いを始めた。逆に金を払え、と言いたい。

が、そのすぐそばで通りすがりの学生らしい若い娘たちが立ち止まったまま僕をガン見していることを知り、そそくさとコンセントを抜いた。

そもそも誰も使わないからコンセントが抜かれていたのだろうから、やっぱりこの国でも外で音を鳴らして体重を計る人間はちょっと変だってことになるのだろう。しかし、笑顔すらなく「ふーん、あんた60.9kgなんだー」といった女子の目線が忘れられない。人の体重を覗いておいて、しかもそれが本人にバレているのだから、焦りとか罪悪感なるものがあるはずだけど、彼女らからは微塵も感じられないのだ。

「さっき、あんたが体重計ったとき、周りがザワついてたよ。」

「うん、知ってる」

妻も妙な雰囲気を察知していたようだった。そんな会話をしながらアユタヤ駅へ。

帰りの列車の座席は、来るときと違ってプラスチックだった。

この日の使ったお金の合計は2人で400バーツほどだった。心からツアーなどに申し込まなくて良かったと思った。バンコクで日本人スタッフのいる旅行会社で見つけたツアーはお1人様1440バーツ。

 

 

バンコクへ戻ってくると、今度は2度目の予防接種のため赤十字病院へ。

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日本と違い生ワクチンを打つのが海外ではスタンダード。妻など他の医療関係者の話だと日本が安全性を気にし過ぎた結果、時代に乗り遅れたらしい。というのもこれはウイルスも体内に打ち込むことになるため、副作用が出ることが多いらしいのだ。ただワクチンとしての効果を出したいならそんなものは乗り越えろ、というのが海外。

 

朝9時半にワクチンを打ち終え、30分後には風邪の初期症状のような、なんとも言えない微弱な気だるさが出てきた。

宿に戻ると、飯を食いに出た。歩き始めるとすぐに喉が渇いた。バンコクは本当に暑い。

タイでは日本のようにコンビニなどでブラックコーヒーや緑茶を手に入れるのが容易ではない。「静岡茶」と漢字で書かれているペットボトルがあったので買ってみると、とにかく甘い。そんなことがあった。

しかし僕らは旅立つ前まで紅茶やコーヒーを砂糖なしで飲むのを日課としていたため、タイに来て口の形がコーヒー豆になってしまっていた。カフェを探す。

すぐに信用できそうなカフェを発見。雰囲気がタイじゃない。店の外と中に青くカラーリングされた犬が1匹ずつ寝ころんでいた。

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女性店主が1人で切り盛りしている店だったが、話してみると料理上手の旦那さんがかなり手を加えているというのが良くわかった。旦那さんとのラブラブ写真も壁には張られていた。ポルトガル人とのことだった。納得。

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料理は抜群。コーヒーも苦くて自分が求めていたサラッとした触感だった。

 

 

また宿に戻り、午後から何をするか考えた。あまり自分らしいことをしていないのでやってみたいがそんなことは都会のバンコクではできない。ドローンを飛ばす手続きも面倒。

でもいいとこあれば行ってみたい。そうだ廃墟だ。旅立つ前に各国の廃墟を探してリストアップしたりもしていた。とはいってもバンコクは眼中になかったため改めて探してみると、フランス語界隈のブログに到着。どうも飛行機の墓場というのがあるらしい。頑張って翻訳して行ってみた。

あ、もう完全に体温が上がりきってるな、と思いながら宿付近からタクシーに乗り込む。

「こんなとこ知らないよ。分かるのは遠くて渋滞する道を通らなければいけないってことだけ。しんどいから駅で降ろすよ。そこから電車で行きな。」

ドライバーは乗り換える路線のことなども考えて、アクセスしやすい駅で降ろしてくれた。

いつも使っていた地下鉄のすぐ先の駅だった。そこからしばらく乗って、市内と郊外にある空港を結ぶ路線に乗り換える。またしばらくすると目的のHUAMAKという駅に着いた。

普通の外国人に用のない殺風景な駅。タクシー乗り場を示す看板があったため、指示に従い歩く。そこへの道は1本しかないはずなのに乗り場タクシー乗り場は見当たらない。しばらくして、これ絶対にない。と確信し、駅に戻った。

警備員らしき人に尋ねると、ここで捕まえるんだよ、と。言われた。

20分くらい中々つかまえられなかった。大通りまで少し歩くけどその方が確実だったかもしれない。

飛行機の墓場をドライバーに尋ねると、「そんなとこ知らないよ」という表情で僕のgooglemapを拡大したり縮小したりした。

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それもそのはず、着いてみると意外なことに飛行機は街に溶け込んでいて、車で通るくらいの人は気づかないのも頷ける。

また、公園のようなところかと思いきや人の土地らしくフェンスで囲われていた。それでも飛行機の半分くらいは見ることができて、突っ立っていると、小さな家から若い女が出てきた。

「1人200バーツ払えば、入っていいよ。」

妻は「高くない?」と耳打ちしてきたが、僕には安く感じられてならない。

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貨物室らしきところから侵入。

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梯子をあがると、客室。椅子などは取り外されていた。

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開け放たれたドア。ここから降りる勇気はない。

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断熱シートのようなものだろうか。

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5体ほどある機体のほとんどは胴体半分ほどで切断されていた。

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いったいどういう経緯で飛行機はここへやってきたのだろう。念のため放射線量を計ってみたが、異常なし。

何はともあれ、タイに到着して1番テンションがあがった。

 

しかしながら宿に戻るころにはフラフラになっていた。ベッドに横たわり体温を計ると38.6℃。妻は平気そうだったが、シャワーのあと気だるいと言い出し、寝るころには38度まで上がっていた。

 

翌朝、チェンマイ行の航空券を取っていたため仕方なく動くことに。僕の荷物の重量を計ると、捨てた変圧器の分くらいしか軽くなっておらず、メインとサブを合わせて約27kg。とにかく衣類が重いが、北欧が終わるまでは仕方がない。

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